キッザニアの歩みとメディア戦略─日本でキッザニアが浸透するまで─

キッザニアのメディア戦略とブランディング よもやま

キッザニアって、元々メキシコ発祥のテーマパークらしいけど、どうやって日本にやってきたの?

どんどんと遊園地が潰れていくこのご時世に、いつのまにか面白そうな施設ができた。

キッザニアはどんなふうに私たちのなかに広まっていったのでしょう。

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キッザニアを日本へ

キッザニア甲子園ANA
バビエル・ロペス氏によって、1999年メキシコでキッザニアが誕生しました。
日本へキッザニアを導いたのは、住谷栄之資という方で、実はほかにもビッグネームなチェーン店を日本へ出店したすごい方です。

それまでにない『職業体験型施設』の開業は困難も多かったようですが、満を持して2006年キッザニア東京をららぽーと豊洲にオープンしました。

前例のない企画、リスクの高い出資であったにも関わらず、どうしてキッザニアにスポンサーがついたのでしょう。

好転のきっかけ


ある時『日経トレンディ』のヒット予測ランキングでキッザニアがインドアプレイルームとしてトップに選出されました。

その日経トレンディを大量購入しスポンサー企業に配布して回ったところ、2006年以降、スポンサーが急増。

その後も、メディアを中心とした広報活動でエデュテインメントという、新しいコンセプトを伝えていきました。

エデュテインメントとは


教育の中に娯楽要素を取り入れることの造語。
しまじろうを使用した知育教材や、ドラえもんを使用した英語教材などもそれにあたります。

教育上のメッセージとスポンサーの企業理念はイコール。

ただお金を稼ぐだけではなく、仕事をするうえでお客さんに思いを持って接することが大切なのだと子どもたちに伝えています。

スポンサーシップについて

スポンサーはオンリー
キッザニアは原則、一業種につき一社だけ出店できるようにしています。

例えば、キッザニアを運営する『KCJ GROUP』(2011年キッズシティジャパンから社名変更)はKDDIの傘下に入っていますが、キッザニア甲子園にかつてあった「携帯電話ショップ」や「ロボット研究開発センター」はNTTドコモがパビリオンスポンサーでした。

ということは、ドコモがスポンサーを降りない限り、同業種メーカーが出店することはないので、auやソフトバンクの出店はできなかったということですね。

企業の可視化

クロネコヤマトのユニフォーム姿
キッザニアのパビリオンは、アクティビティがリアルに再現されています。

使用する道具も制服もスポンサー企業が実際に使っているものと同じか、もしくは限りなく近いものを使用しており、企業が新しくすればキッザニアでもリニューアルします。バスガイドやキャビンアテンダントなど、一新されより凛々しく可愛くなりました。

さらにアクティビティの体験前にはきちんと仕事内容や目的、企業理念が伝えられています。(ここが一番幼児には理解が難しいところかも)

プロモーション活動は禁止

禁止
キッザニアでは、企業の広報活動は禁止されています。なのでキッザニアで自社商品の宣伝や、おかしな商法などに出くわすことはありません。

パビリオンにはそれぞれスポンサーの看板が掲げてあり、すでに視覚的に刷り込まれているので十分宣伝になっていると思います。

しかも子どものうちから職業体験する子どもたちは、良くも悪くももっと深い部分に残るものがあるでしょう。

スポンサーデー

また、各企業1年に1回、1社で貸し切って自由に利用できる「スポンサーデー」という日があります。

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日本ならではのキッザニアを目指して

他テーマパークとの差別化

教育を取り入れた施設
キッザニア東京は海外進出一号店でした。

メキシコに確認を取りつつではありましたが、日本という土地で、独自のバリエーションを広げることが可能でした。

日本には、有名なテーマパークが多く存在します。

キッザニア甲子園もユニバーサルスタジオジャパンとそう遠くない位置にあり、そういったテーマパークと正面から戦うのではなく、キッザニアはキッザニアの戦い方で、徹底的に差別化に取り組みました。

ただ遊ぶだけの施設ではなく、キッザニアにおける教育的な側面を前面に押し出したことで、教育熱心な保護者と、顧客の幅を広げたいスポンサー企業に受け入れられるようになっていったのです。

顧客の意見を取り入れる

みんなの意見箱
キッザニアはオープン以来、その土地のやり方に合わせた方法に柔軟にルールを変えてきました。
キッザニア甲子園にもかつて「甲子園ルール」と呼ばれているものもありました…(東京にはなかったので)

いろいろと進化しているのは、顧客ニーズを読み取る力や、変更に対するスピード感に秀でているといえます。

こども議会

大切な会議
つねに子どもの目線から離れないようにするための重要なシステムで、小学3~5年生の子どもが意見を交換し、商品開発などを行っています。

新パビリオンのオープンには先駆けて体験してもらい、リアルな意見をあおいでいます。

パビリオンの窓の高さが高すぎる、表現がわかりにくい、もっとこうすればみんなに伝わりやすいのではないかというような、大人だけでは気付かない貴重な意見を得ています。

ZV(スーパーバイザー)

スーパーバイザーと
キッザニアで子どもをアシストするのがスーパバイザー。

スーパーバイザーは、大学の児童教育の専門家から指導を受け、歌や踊りなどの表現面でも教育を受けているそう。

キッザニアを訪れてとくに感じるのは、「子どもを子ども扱いしないこと」。
職場と同じく、子供たちに「さん」付けで敬語で話すこと。 先回りして伝えないことなど、徹底されています。

また社員の家族をキッザニアに招待したり、アルバイトでも能力を認め海外研修の機会を与えたりと、働く人への対応や福利厚生も充実しているようです。

自分の働く姿を家族に見せられるお仕事ってなかなかないですしね。そして社員の子どもを招くことで、新たな宣伝効果も期待できます。

まとめ

街並み
いかがでしたか。

キッザニアはスポンサーありきの施設。メディア戦略もうまく、テレビなどへの露出は頻繁です。

キッザニアのオープニングセレモニーなんかは、正直子どもや保護者のためではなく、メディアへの広報活動の意味合いが強いです。

しかし日頃は子どもや、我々保護者のためにいろんな企画を考え提供し、よりよく変えて行こうとしてくれているのでよしとします。

より多くの子どもたちがキッザニアで楽しめますように。

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